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あなたの身体特徴は瞬発型、持久型?スポーツの向き不向きがわかるACTN3遺伝子とは

オリンピックや世界陸上など、ワールドワイドな運動競技を見ていて「やっぱり人種によって、得意なスポーツ分野はほぼ決まっているのかなあ」なんて感じたことはないでしょうか。

長距離走アスリートたち

もっと身近な例では、子供の学校の同級生たちのあいだでも、「◯◯君は持久走が得意。◯◯ちゃんはジャンプ力をいかしたスポーツがすごい」といったように、いつしかスポーツの得意分野が自然と分かれていくのは良くあることです。

このようなことから「それじゃあ持って生まれた素質を伸ばすほうが上達しやすくていいのでは?」と考えて調べていたら、やはり運動機能の得手不得手は「遺伝子」が決めているという報告がありました! そこでここでは、運動・スポーツに関わる遺伝子についてご紹介します。

筋肉は2種類ある!?

現代では一般的にもよく知られているように、人間の身体を作るための設計図のようなものとして、遺伝子(DNA)が存在します。遺伝子は父親と母親の両方から受け継いでいる身体的特徴ですが、これは「筋肉の質」にも当てはまるのです。

筋肉は大きく2種類、「速筋(白筋)」と「遅筋(赤筋)」に分けられます。速筋はいわゆる「瞬発系」であり、短距離走やウエイトリフティングなどの「瞬間的にパワーを出す」ことが得意な筋肉です。反対に遅筋は「持久系」であり、長距離走など「疲れにくく持続的に運動を行う」ことが得意な筋肉です。

誰もがこれら2種類の筋肉を両方とも持っています。しかしどちらの筋肉をより多く持っているのかは、各々の持って生まれた体質によって異なります。そしてそれを決めているのがある遺伝子――最近では、簡単な検査によってその遺伝子のタイプをすぐに調べられ、自分の筋肉の特性が判明するのです。

そしてその遺伝子こそ「ACTN3」と呼ばれる、筋肉を構成するタンパク質を司る遺伝子を指します。

ACTN3遺伝子は3パターンある!?

ACTN3遺伝子には大きく3パターンがあります。

①RR型(CC型)・・・瞬発・パワー系
②XX型(CT型)・・・持久系
③RX型(TT型)・・・両方のバランスが取れている

実際に世界レベルの短距離走者たちの遺伝子を調べると、瞬発・パワー系筋肉が多いRR型のスポーツ選手の比率が多い結果となっています。

短距離走アスリートたち

また人種による割合を見ていると

【RR型(瞬発系)】
ヨーロッパ系白人・・・36%
アフリカ系アメリカ人・・・60%
バンツー系アフリカ人・・・81%
アジア人・・・25%

【XX型(持久系)】
ヨーロッパ系白人・・・20%
アフリカ系アメリカ人・・・13%
バンツー(バントゥー)系アフリカ人・・・1%
アジア人・・・25%

※バンツー系アフリカ人:カメルーンから中央アフリカ、東アフリカから南アフリカまでのブラックアフリカに分布する400以上の民族を指す。

という結果が報告されており、瞬発・パワー系スポーツにアフリカ系の人種の選手が上位を占めることは、筋肉の遺伝的特徴が現れていることが分かります。

日本人のACTN3遺伝子の割合

では日本人のなかで、ACTN3遺伝子の割合はどのようになっているのか、見てみましょう。

①RR型(瞬発・パワー系)・・・19%
②XX型(持久系)・・・27%
③RX型(バランスが取れている)・・・54%

速筋と遅筋のバランスが取れている方がほぼ半数なものの、瞬発・パワー系がおよそ「5人に1人」、持久系がおよそ「4人に1人」いるという結果に。

このことからも、同じ日本人のなかでも生まれ持った筋肉の質が異なっている可能性は、案外高いのではないでしょうか。

つまり、もしも瞬発・パワー系のRR型筋肉を持つ人が持久系のスポーツをしても、それほど成果がでない可能性が高く、反対に持久系のXX型筋肉を持つ人が瞬発・パワー系スポーツに励んでも、もともとRR型筋肉を持っている人と比べると、練習の成果が出にくいと推測できます。

先天的能力と後天的能力

ではXX型の人は、どれだけがんばって瞬発・パワー系スポーツを練習しても無駄なのでしょうか。

先述したように、アフリカ系人種はRR型の人が多いことが判明しています。そしてその傾向は、長距離走やマラソンで上位を占めるケニアやエチオピアの人においても、ほぼ変わりません。

※マラソン選手におけるXX型の割合・・・ケニア約1%、エチオピア約10%

したがって、ACTN3遺伝子のみがスポーツの成果を決定づけるワケではなく、個々人の遺伝子、言い換えると「体質、体格」さらには「性格」に合わせた適切な練習トレーニングを行うことで、先天的な遺伝子的特徴を超えた「後天的能力」を手に入れることができるのです。

遺伝子タイプを知って適したトレーニングを!

たとえばRR型の人とXX型の人が同じくインターバルダッシュ(10mは助走をし、60mはダッシュする)を繰り返したとします。

その際、RR型の人は瞬間的に力を発揮する「瞬発系」のため、2回目以降はタイムが落ちていき、疲れもすぐにたまります。

しかしXX型の人は持久系のため、瞬間の早さはないものの、2回目以降もタイムはほぼ落ちず、疲れもたまりにくいのです。これはXX型の人は、エネルギーの回復がすぐにできるためだと言われています。

以上から、全員が同じ練習メニューを同じ時間こなすのは、持ちうる能力が伸ばせないだけではなく、「他の人ができていることができない」と劣等感を抱くのみで終わってしまうことは目に見えています。

ランニングする女性

遺伝子によってスポーツの向き不向きがあるのは事実です。しかしそこで諦めるのではなく、弱みは適したトレーニングでカバーし、強みはどんどんと伸ばすようにしていくと、ポジティブに遺伝子タイプを把握し活用するようにしてみましょう。

この記事の執筆者

朝井 裕子

小学生から中学生の3人の子供(息子2人、娘1人)を育てている専業主婦。
以前は看護師だったこともあり、子供の成長に関するあらゆる分野に興味津々。
子供の成長・学習・学校に関する情報やノウハウを伝えていきます!

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