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身体能力(運動能力)と運動神経の違い。どっちを先に伸ばすべき?

ここ数年で、スポーツ系のメディアのみならず一般の方の会話内でも頻繁に使われるようになった「身体能力(運動能力)」という言葉――使われ方としては「◯◯選手は身体能力が高い」「身体能力が上がったことで、日本人選手も世界レベルになった」というような内容だと思います。

バスケットボールをする男性

しかし(現在でも使われますが)私が子供の頃によく使われていた類似の表現に「運動神経が良い・悪い」があります。医学的にはそのような名前の神経自体はないのですが、私もよく「あなたは運動神経が本当に悪いから……」なんて親にため息をつかれた、苦い経験があります。

しかしこの頻繁に口にされる「運動神経」という言葉、なんとなく「身体能力」とは異なった意味での使い方をされているように感じるのは、私だけではないはずです。

そこで「身体能力」と「運動神経」に注目し、これら2つの言葉の意味の違いについて解説していきます。

文部科学省が規定する「身体能力」

文部科学省によると、「全ての子供たちが身につけるべき身体能力」は、以下の7要素だとしています。

1:筋力…身体全体を動かすための土台となる能力
2:筋持久力…筋力を使って身体を長時間動かし続けられる能力
3:瞬発力…短時間で筋力を十分に発揮できる能力
4:心肺持久力…運動時に呼吸機能を長時間正常に働かせられる能力
5:敏捷性…筋力を使って素早く反応し身体を動かす能力
6:平衡性…不安定な足場にて身体のバランスを取ることができる能力
7:柔軟性…関節が柔らかく、身体の反応に合わせてスムーズに動ける能力

さらには、上記の7要素以外に、「調整力(身体の動きを総合的にコントロールする能力)」も一定レベルに達することを必要としています。

どちらを優先させる?

文部科学省の規定から見ると、「身体能力」とは運動をしている際に、その場に適した反応に沿って行動することができる「身体が備えている能力」を指しています。

それに対して「運動神経」とは、身体の能力(つまりは身体能力)を状況に合わせて上手く使うことが出来る「脳の指令(判断)力」(神経を通して筋肉などに信号が送られる)であると推測できます。

では運動がよく出来るようになるには、身体が主体の「身体能力」と脳が主体の「運動神経」、どちらを先に伸ばしていけば、効率的にスポーツが上達するのでしょうか。

ベースは「身体能力」

たとえば、「筋力と瞬発力、敏捷性」などが優れているバスケットボール選手のAさんがいるとします。Aさんは「身体能力が優れている」と言えます。

バスケットボールのコート

しかし残念ながらAさんが「運動神経は良くない」場合、実際の試合には、その素晴らしい身体能力は宝の持ち腐れで、役には立ちません。なぜなら、その身体能力を使ってプレーをする指示を、脳は瞬時かつ的確に判断して身体の各部位に送ることができないからです。そのためワンテンポ遅れて身体が動く、などの現象が見られるでしょう。

次に、「筋力、筋持久力」など、総合して「身体能力が劣っている」バスケットボール選手のBさんがいるとします。Aさんとは反対にBさんが「運動神経は良い」場合、どのようなことが起こるでしょうか。

Bさんもまた、Aさんと同じく実際の試合では活躍はできません。というのもBさんは運動神経は良いため、頭ではどう動けば良いか、テクニックという意味では理解できています。しかし能力の低い身体では、脳内のイメージ通りにうまく動かすことができず、結局は状況に対応することができないのです。

以上の例から言えるのは、「(Bさんのように)運動神経が良く、テクニックや技術は上手くても、それを活かすベースである身体能力が劣っていれば意味が無い」ということです。

こう説明すると、「Aさんのように優れた身体能力があっても、指令を出す運動神経がよくなければ宝の持ち腐れじゃないの?」と思われた方もいるかと思います。が、しかし(平均レベルではなく)優れた身体能力を持っていれば、ある程度訓練をすれば、能力のある身体が的確な動きを覚えるため、技術力の足りなさをカバーできるのです。

したがって優先順位をつけるなら、どれだけ脳内イメージで技術があったとしても、それを現実の身体で表現できないほうがパフォーマンス力としては問題なのです。

幼児期から身体能力をのばして

身体能力の高い人間になるには、幼児期からの身体の動かし方が重要です。なぜなら身体能力の質は遺伝よりも「後天的」な要因が大きく影響するからです。

サッカーボールを蹴る少女

無理をしない範囲で、子供さんに年齢に合った適切な運動を行わせていらっしゃいますか。ケガをしたらいけないと思い、あまり身体を使わない生活にはしていないでしょうか。

後々まわりの子供たちと比較して身体能力(運動能力)の差に苦労しないように、幼い時から身体を目一杯使えるように気をつけてあげるのも、子供の成長を見守る親としての責任と言えますね。

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