コミュニティ・スクールって何? 誰が何のために参加するのか、コミュニティ・スクールについて知ろう!
「コミュニティ・スクール」という言葉をご存じでしょうか。
コミュニティ・スクールとは、別名を「学校運営協議会制度」とも言い、「学校と保護者や地域の皆さんがともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、一緒に協働しながら子供たちの豊かな成長を支え『地域とともにある学校づくり』を進める法律(地教行法第47条の6)に基づいた仕組み」(文部科学省HPより)を指します。

とはいえ、上記の説明だけでは良く分からない、と思われるかと思います。そこでここ数年で一般的に使われつつあるコミュニティ・スクールについて、詳しくご説明します。
目次
コミュニティ・スクールとは
コミュニティ・スクール(Community School)は元々アメリカで1930年代に生まれた学校運営に関する制度です。簡単に言えば「保護者をはじめ地域住民が学校運営に意見を出すことで、積極的に参画できる制度」を指します。
日本でも戦後の一時期にはコミュニティ・スクールと似たような制度が発足したものの、あまり浸透することなく、制度自体がなくなっていました。しかし2000年に政府が提出した「教育改革国民会議の報告」をベースにして、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)が新たに作られました。
コミュニティ・スクールって何をするの?
コミュニティ・スクールには「学校運営協議会」というものが存在します。学校運営協議会とは、保護者を主とした地域住民と学校教員たち、校長などで構成された委員が集う会のことです。
この学校運営協議会は市区町村の教育委員会へ学校運営についての意見を述べられる立場にあり、また教育委員会は学校運営協議会の設置や委員の任命を行います。
また学校運営委員会から提出された意見を元に、「市区町村の教育委員会」が「都道府県の教育委員会」に教職員の任用に関する意見を提出し、「都道府県の教育委員会」がその意見を尊重しつつ教職員の人事を行います。
また学校運営協議会は、校長が提示した学校運営の方針や教育活動に対し意見や承認をすることができます。
したがってこの学校運営協議会を設置できる制度「コミュニティ・スクール」が機能することで、地域と学校とが共存し、「地域とともにある学校づくり」を行うことができるのです。
日本のコミュニティ・スクール数は拡大している!?
では日本では、実際にコミュニティ・スクールは機能しているのでしょうか。先述したように2000年に政府によってコミュニティ・スクールが作られた後、2年後の2002年にはコミュニティ・スクール指定校として9校が研究対象となりました。
実は2004年までは、既存の学校教育法によって学校の設置者が学校管理・運営を担うため、コミュニティ・スクールを取り入れても「学校設置者が必要とする範囲」において適応されるのみでした。
しかし2004年に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(都道府県や市町村における教育行政を規定している法律)が改正されました。そのことによって、教育委員会の判断により、公立学校において、独立して学校運営協議会を設置できるようになったのです。
このようにコミュニティ・スクールを取り入れた公立学校の第一号が、東京都足立区立五反野小学校です(現在は統廃合によって「足立小学校」となっています)。

※現在では、コミュニティ・スクールを取り入れた学校自体を「コミュニティ・スクール」と呼びます。
コミュニティ・スクールの数は全国で順調に増えており、2005年は17校だったのが、2011年には789校となりました。さらに2012年は1,183校、2013年には1,570校となっています。そして文部科学省は2017年4月の報告にて、全国3,600校がコミュニティ・スクールとなっていることを公表しています。
コミュニティ・スクールの存在意義
とはいえ、コミュニティ・スクールは最初から簡単に受け入れられたワケではありません。というのも、既存の教育関係者から見れば、保護者や地域住民など「教育の素人」から監視され、なにかと反対意見を出される、というようなネガティブな考えが先に立ってしまったからです。
しかしコミュニティ・スクールは、監視するために存在するのではありません。コミュニティ・スクールがあることで、これまで学校と垣根のあった保護者や地域住民、そして教職員たちが「対等」の立場で意見交換をし、子供たちが健やかに育つように学校運営について考えていく場を設けることができるようになったのです。
特に2011年の東日本大震災後、学校と地域社会、地域住民たちが連携を取る重要性が全国で見直されました。このことがコミュニティ・スクールの数が急増するきっかけになったと言われています。
コミュニティ・スクールはより良い学校づくりを目指す全ての人へ
学校運営協議会の参加者は(地域、学校により多少異なるものの)主に保護者(PTAの役員)、学校評議会、地域の民生委員などです。特に資格などがあるわけではなく、地域社会の連携や子供の成長を願う地元の方であれば、誰もが学校運営協議会に参加できる可能性は高いのです。

学校運営に真剣に携わり、子供たちのためにより良い学校づくりを目指す全ての方に関わるコミュニティ・スクール。この制度の意義を理解し、学校のサポーターとしてぜひ学校運営協議会に加わってみてはいかがでしょうか。