DHAとEPAはなぜ頭に良いの?DHAが含まれた魚をたくさん食べれば賢くなれる?
昔から、「魚をたくさん食べている人は、記憶力が良い」や「頭が良くなるために、魚を毎日食べたほうが良い」、さらには「魚に含まれるDHAという成分が、頭の老化防止に良い」などと言われていますよね。
この「DHA」という成分、最近では「EPA」という成分とセットになって、「脳機能の低下防止(もしくは機能力アップ)」効果があるとして、再注目されています。

では実際にこれら「DHA」「EPA」がどのような働きをする成分であり、どのように脳機能に影響をおよぼすのか、ご説明します。
そもそもDHA、EPAとは
DHA(ドコサヘキサエン酸)とは元々、脳の「神経細胞の膜(=シナプス膜)」を形成している「多価不飽和脂肪酸」です。
DHAが多いほどこの膜は柔軟性を持ちます。※DHA自体が脂肪酸の中でも柔らかいため。
そして膜が柔らかいほどに「脳機能が活発に」働き、いわゆる「頭の回転が早く」「記憶力が良く」なると言われています。
EPA(エイコサペンタエン酸)もまた、DHAと同じく「多価不飽和脂肪酸」のひとつですが、DHAとは異なり、脳には存在していません。
EPAの働きは主に「心筋梗塞」「動脈硬化」「脳梗塞」「脳卒中」などの予防が挙げられます(DHAと合わせて、不足すると「血液がドロドロ」な原因となる、血液中の血栓が増えるため)。
このような血液のドロドロ状態を改善し、サラサラな血液へと変える作用は、DHAよりもEPAのほうが効果的と言われています。
DHA、EPAともにほとんど体内で作ることはできないため、外部から(つまりは食材やサプリメントから)摂取しなくてはいけない「必須脂肪酸」であり、さらには身体の健康維持に非常に有用な「ω(オメガ)-3脂肪酸」なのです。
DHAはどのようにして脳へと届くのか
食材やサプリメントによって摂取されたDHA、EPAは、まず小腸で吸収されます。その後肝臓を経由し血液に混ざり、脳まで運ばれます。
一般的にはあまり知られていませんが、どのような栄養素でも血液に乗って脳に入れる訳ではありません。脳の入り口部分には「血液脳関門」と呼ばれる、有害物質かどうかを判断して脳へ運んで良い物質だけを通す働きがあるのです。
※有害と思われる「アルコール」「カフェイン」「ニコチン」「抗鬱剤成分」「麻薬」などは血液脳関門を通過し、脳に運ばれます。反対に言えば、脳へと届く物質だからこそ、これらは脳機能に大きな影響を与えます。
血液脳関門と書くと、まるで関所のような門がひとつ、頭の付け根あたりにあるようですが、そうではありません。血液脳関門とは、脳の毛細血管を覆い尽くす内膜の働きを指しています。
DHAはこの関門を通過できますが、EPAは通過できません。そのため脳神経に直接働きかけるのはDHAであり、EPAではありません(そのためEPAは脳には存在していない)。
しかし実はDHAはEPAを元にして生成されるため、DHA不足を補うためにはEPAもまた同時に必要な成分なのです。
子供の学習能力向上
DHAを摂取すると「頭が良くなる」という説は、厳密には間違っています。というのも、DHAを摂取するだけで「元々の知能を越える」という訳ではないからです。

しかし、DHAを摂取すると神経伝達物質が増えるため、脳の伝達機能が活性化し、結果として「脳機能の低下」を抑制することができます。
また「発育時期の胎児から幼児」の場合、DHA、EPAが脳や神経細胞の発達に重要な役割を果たします。
小学生の場合でも、オックスフォード大学による実験の結果、DHAを意識的に毎日摂取した子供のほうが、摂取しない子供に比べて「読解力が向上」したとのことです。
脳に関わる精神的な症状にも
DHA、EPAは、学習能力の向上のみならず、「集中力の向上」「多動性の抑制」の効果が期待できます。
メカニズム自体は完全には証明されていないものの、うつ病などの「脳に関わる精神的な症状」の予防効果なども多く言及されており、研究が進められているのです。
DHAは視力回復効果もある!
DHAの効果として、視力回復機能も挙げられます。というのも、DHAは「血液脳関門」のように、目の中にある「血液網膜関門」もまた通過することができるからです(EPAは通過できません)。
DHAは網膜脂肪のおよそ半分を占める物質であり、視力回復や疲れ目の改善など、目・視力の状態を良くする効果が期待できます。
パソコンやスマホ、TVゲーム、勉強などで疲れた子供の目をDHAで回復させることで、成績アップや集中力アップ、疲れにくくなる、といった二次的作用が起こるかもしれません。
さらにDHAにはアレルギー予防効果もあるという研究報告もあります。受験シーズンはちょうど花粉症まっただ中――DHAを長期間摂取していれば、花粉症の症状が軽減される可能性も考えられます。
※個々人の体質により異なるため、すべてのアレルギー症状が軽減される訳ではありません。
DHA、EPAの推奨摂取量
DHA、EPAの推奨摂取量は1g/日以上――より厳密には男性は2.0-2.4g/日、女性は1.6-2.0g/日と言われています。

【DHA、EPAが含まれる食材例】
・さんま
・いわし
・うなぎ
・ぶり
・サケ
・マグロ
しかし通常の食事から摂取するにはなかなか難しいため、サプリメントで補うことがオススメです。
※過剰摂取にはご注意ください。